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第2回ウェビナー(2024年1月12日)の開催について

2024年1月5日

本プロジェクトチームのメンバーが登壇する連続ウェビナーを開催します。学際的に知識を補完し合い、また議論によって研究を深めることを目的としています。


日時:2024年1月12日(金)19:00~20:30

発表者:加賀谷 渉 さん(大阪市立大学)

タイトル:ケニア・ヴィクトリア湖周辺地域におけるマラリア伝播と対策

要旨:

マラリアは、現生人類の進化とともに共生してきた古い感染症であるが、人類にとって常に最大の健康上の課題であり続けている。マラリアの感染状況は、2000年頃からの長期残留型殺虫剤処理蚊帳(LLIN)、迅速診断キット(RDT)、アルテミシニン併用療法(ACT)といったツールの導入とともに、大きく減少傾向に転じ、いくつかの国では撲滅を達成、世界的根絶の可能性すら議論されるようになった。しかしながら、2015年頃よりその効果は限定的なものとなり、感染者数、死者数共に再び増加傾向に転じた。加えて、COVID-19のパンデミックはその傾向に拍車をかけたとされている。こうした流れは、1960年ごろの第一次世界マラリア根絶計画とその失敗を彷彿とさせる。現在、残存するマラリア感染の主体は熱帯アフリカにあり、特に東アフリカのケニア、タンザニアからコンゴ民主共和国、さらに西アフリカのガーナやセネガルといった国にかけて広がる“マラリアベルト”と呼ばれる地域で高い感染率が認められる。我々はその東端ともいえるケニア・ヴィクトリア湖畔のホマベイ郡において、2012年より長期的な横断的マラリア調査を実施してきた。その疫学研究からは、マラリア原虫、媒介蚊、ヒトというマラリア伝播に関わる3つの生物が、それぞれ異なるメカニズムで伝播の持続に寄与していることが明らかとなった。本発表では、そうした見いだされた感染伝播環の特徴と展開されているマラリア対策がもたらしてきたインパクトを疫学的見地から概観するとともに、我々が新たに提案、実施してきた抗マラリア薬の集団投薬、あるいは天井式蚊帳といった方策についての介入試験について紹介する。

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